「G. ヘンレ社が私の作品を出版してくださってうれしいですし、光栄です。
楽譜において、ヘンレはいつも私の第一候補です」
エフゲニー・キーシン
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ヘンレ社による作曲家エフゲニー・キーシンへのインタビュー(英語)
[5:15]
エフゲニー・キーシン:4つのピアノ小品 Op. 1,2:ドデカフォニック・タンゴ
エフゲニー・キーシン(ピアノ) [2:47]
エフゲニー・キーシン:チェロソナタ Op. 2, 抜粋
ゴーティエ・カプソン(チェロ)、ユジャ・ワン(ピアノ) [2:59]
エフゲニー・キーシン:弦楽四重奏 Op. 3
コペルマンカルテットによる初収録のメイキング [8:47]
あなたがピアニストというだけでなく、すぐれた作曲家でもあると知れば、たいていの人が驚くでしょうね。ここに至る経緯を教えて頂けますか。
キーシン:そうですね、とても小さな頃から作曲への欲求が自然と湧いてきていました。6歳で音符の読み方を教わり、自分の作曲作品を書きとめるようになりました。様式や編成をいろいろ試しましたが、すべて本から学びました。さまざまな楽器について書かれた本を読むのが好きだったのです。しかし作品を実際に演奏可能なものにするには、もちろん本だけでは不十分です。
これについては面白い話があります。ヴィオラのために作曲したことがあったのですが、作品を学校の先生に見せたところ、「これはヴィオラでは演奏不可能です」と言われました。そこで「そうですか、まあいいでしょう。ではヴィオラが発展するしかないですね」と答えました。もうひとつあります。学校の友達でヴァイオリンを演奏する子がいて、その子と個人的に演奏しました。彼は、有名な主題の変奏曲集をヴァイオリンのために書いてほしいと頼んできました。そこでメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の最初のテーマを選び、一通りのヴァリエーションを書き上げて渡しました。彼は楽譜を見つめ、数日後に言いました。「そうだなあ、ヤッシャ・ハイフェッツがたくさん練習したら、もしかするとこの半分は弾けるかもしれないね」
それから、自分の作品が聞こえない時が来ました。どうしたらよいか、わかりませんでした。これは、コンサートピアニストとしての仕事が増えた時期と重なります。15歳の頃でした。
数年前にふたたび作曲への渇望が芽生えました。
それで3つの作品を作曲され、このたびヘンレ社が作品 1-3として出版できることになったのですね。
その通りです。まずピアノのために4つの小品(作品 1)を書きましたが、そのうちトッカータについては1986年の時点ですでに書き始めていました。たったの数段ですが。それから中断していました。この4曲が完成した後、尊敬する作曲家アルヴォ・ペルトから「メディテーション」(作品 1, 第1番)についてとても的を得たすばらしいアドバイスを受けました。そこでいくつか書き換えました。
それから何も期待せず、いろいろな音楽家や演奏家に自分の作品を送りました。彼らにお願いしました。「好きか嫌いか、率直に教えてください、それをとにかく知りたいのです」と。ほとんどの方が好きと答えてくださっただけでなく、演奏できたらうれしいとまでおっしゃいました。そして彼らは実際演奏してくれました。
あなたの作品を演奏した方のお名前を挙げて頂けますか。
とりわけスティーヴン・イッサーリスは私のチェロソナタ(作品 2)に感激してくれました。彼はいろいろな国でチェロソナタを演奏しました。ダヴィド・ゲリンガスも同じです。ゴーティエ・カピュソンはユジャ・ワンと一緒にヴェルビエ音楽祭で私のチェロソナタを演奏してくれました。
あなたの3番目の作品はピアノがまったく使われていませんね。弦楽四重奏 作品 3についてお聞かせください。
私自身は弦楽器の演奏を習ったことがありません。弦楽四重奏を書いたとき、すばらしい友人のコペルマンカルテットが実際に演奏してくれ、彼らの演奏に深い感銘を受けました。演奏を聞いた上で彼らと意見を交わし、それに従って曲を改編しました。すると彼らは私の四重奏を録音してくれたのです!最近ではエンデリオン弦楽四重奏団も興味を持ってくれています。ケンブリッジで作品 3を演奏してくれて、これはイギリスでの初演となりました。
G. ヘンレ社であなたの作品を出版したいと問い合わせてくださった理由を教えていただけますか。
ヘンレが明らかに最高だからです、誰でも知っているでしょう!巨匠の作品をヘンレ原典版で練習するのがとても好きなのです。
ヘンレ社といえば、過去の作曲家の原典版でよく知られています。今まで現代の作曲家の作品を扱ったことはまったくありませんでした。
そうですね、まあ誰にでもはじめてのことがあるでしょう。おそらくG. ヘンレ社にもね。ひとつお話しましょう。音楽を学びはじめた頃、とある作曲家がすでに亡くなっているか、あるいはまだ存命かをピアノの先生に尋ねました。そのあと再び質問しました。「すばらしい曲を書いた作曲家たちは全員亡くなっているけれど、なぜですか」と。というわけで、私は自分の作曲作品を過大評価する気はまったくありません。だからこそ、ヘンレ社が私の作品の出版社になったことをとてもうれしく思います。
作曲作品が初めて収録される瞬間はとても特別なものです。ガブリエル・シュヴァーベとローランド・ペンティネンによるチェロソナタ 作品 2が、世界初の録音としてNaxos Recordよりリリースされたことを私たちはうれしく思います。
このアルバムは以下のリンク先からお買い求めいただけます: https://naxosdirekt.de/items/russian-ballads-578677
エフゲニー・キーシンの演奏会の予定について最新情報は » こちら
2021年8月15日、ミュンヘン
エフゲニー・キーシン、ピアニストと作曲家
ヴィルトゥオーゾ・ピアニストでもあり作曲家でもあるキーシンが、ジャン=ギアン・ケラスと共演し、自らの作曲作品に迫った。
ザルツブルク音楽祭でのリサイタル翌日の2021年8月15日、ロシア人ピアニストであるエフゲニー・キーシンをまったく別の角度から見ることができた。彼はザルツブルクのヴィラ・ヴィチーナにてチェリストのジャン=ギアン・ケラスと共演し、自らの作曲作品から選りすぐりを発表した。彼の作品は2019年よりG. ヘンレ社から独占出版され、その作品群の幅広さに感銘を受ける。
G. ヘンレ社の社長であるヴォルフ=ディーター・ザイフェルト博士は、エフゲニー・キーシンに作曲家として活躍できる場を提供できたことを喜んでいる。「エフゲニー・キーシンとG. ヘンレ社は長年にわたり友情関係を築いてきました。この関係は私たちが彼の芸術家としての個性に抱く感嘆の気持ちと、彼がヘンレ原典版に対して抱く敬意に端を発しています」
エフゲニー・キーシンはヘンレ社との共同制作について、以下のようにコメントしている:「G. ヘンレ社が私の作品を出版してくださってうれしいですし、光栄に思います。楽譜において、ヘンレはいつも私の第一候補です」
重要な現代作品を出版することは、G. ヘンレ社が高品質な Urtext (原典版)を近代化している分野のひとつに過ぎない。ジャン=ギアン・ケラスはこの演奏会でHenle Libraryアプリを使用した。ヘンレ社はこのアプリとともに大手出版社として2016年に初めてデジタルの世界に進出し、現在では市場をリードしている。
レビューや写真についてのお問い合わせ先
G. Henle Verlag, Olav Rossbach, Forstenrieder Allee 122, 81476 München, Germany
rossbach@henle.de, Phone +49-89-7 59 82-30
画像 『2019年 G. ヘンレ社を訪問するエフゲニー・キーシン 』
掲載無料 Copyright © A. Weiand/G. Henle Verlag.
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画像 『 ザルツブルクのヴィラ・ヴィチーナでの報道対応、ザルツブルク・国際モーツァルテウム財団 、2021年8月15日 』
掲載無料 Copyright © W. Lienbacher/G. Henle Verlag.
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